男性、女性ともに美容面で気をつけたいところが歯の美しさ。
人と対面して会話するときに意識して見ているわけではありませんが、歯が白い人を見ると爽やかだと感じたり、歯が汚れている人を見るとあまり清潔感がないように感じたりしますよね。
それほど見た目の印象に大きな影響を与えている歯ですが、「コーヒーが好きな人」や「タバコを吸われる人」は特に気になる問題ではないでしょうか。
黄ばんでしまった歯でも、なんとかまた白くして爽やかな笑顔を作りたいと思っても、具体的な方法がよく分からない人も多いと思います。
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なぜコーヒーなどの飲料や食べ物で歯が黄ばむのか
歯の黄ばみの原因を考えるうえで、ステインが要因の大部分を占めています。
そもそもステインとは、英語の“stain”をカタカナ表記した言葉で、ヨゴレ・シミという意味です。
通常はお茶やコーヒー、ワインなどによる着色汚れのことを指しますが、近年では歯に沈着する黄ばみの原因となる色素のこともステインと呼ぶことがあります。
本記事では、歯に沈着した後のものを「黄ばみ」、お茶やコーヒーに含まれている各色素自体を「ステイン」とまとめて呼び、区別して説明していきます。
一般的にステインを多く含むもの
コーヒー、紅茶、赤ワイン、チョコレート、ココア、それ自体に強い色はありませんが、他にもバナナや大豆製品などが挙げられます。
中でも含有量が特に多いものがコーヒーとされています。
ステインによる歯への着色や黄ばみのメカニズム
そもそも、ステインにより歯が着色され黄ばんでしまうのはどういったメカニズムで起きているのでしょうか。
まず歯の構造から説明していくと、歯は3層構造になっており、内側から順に神経を含んでいる歯髄(しずい)、中間部分である象牙質(ぞうげしつ)、外層であるエナメル質となっています。
最表面のエナメル質はペリクルという薄い膜で覆れており、虫歯の原因菌が食べ物のカスを分解したときに生じる酸から歯を守っています。
歯を健康に保つ上で欠かせないペリクルですが、良い効果だけでなく、美容面では悪い効果もあり、ペリクルは色素を吸着してしまいます。
結果、ペリクルにコーヒーステインなどの色素が吸着し、蓄積されることにより歯の黄ばみにつながります。
タバコを吸うことにより歯が黄色くなる理由
嗜好品として昔から愛されており、喫煙者も多いタバコも歯が黄ばんでしまう原因になります。
タバコには、タールやニコチンという成分が含まれており、これらが歯に黄ばみをつけてしまうステインを有しています。
タールによる色素沈着は俗に言う「ヤニが付く」という状態ですが、その色素沈着の力は強く、ヘビースモーカーの肺が真っ黒になるのもタールのせいです。
コーヒーやタバコを吸う人は必ず歯が変色してしまうのか?
コーヒーステインとタバコによる歯の変色について説明しましたが、コーヒーを飲む人やタバコを吸う人は必ず歯が黄ばんでしまうかというと、必ずしも歯が黄ばむというわけではありません。
ステインによる色素沈着は、歯のブラッシングやクリーニングである程度はカバーできます。
また、コーヒーを飲んだ後やタバコを吸った後に、すぐ口をすすぐなど色素成分を速やかに落とす工夫をすれば、歯の黄ばみのリスクをかなり減らすことが可能です。
しかし、そこまでのケアをすることはなかなか難しいですし、歯の黄ばみには他にもいくつかの要因があります。
ステインやタバコ以外に歯が変色する要因
歯が変色してしまう要因には、飲料に含まれるステインやタバコなどの外的要因の他に、内的要因もあります。
それは、加齢による黄ばみと抗生物質による黄ばみです。
年齢を重ねるとなぜ歯が黄ばんでしまうのか
それには歯の中間部分に位置する象牙質が大きく関係しています。
私たちの歯の色は、歯の最表面であるエナメル質の色ではなく、実はその内側にある象牙質の色に影響されています。
象牙質はその名前の通り、黄色みがかった色をしています。
象牙色という言葉がありますが、象の牙は真っ白ではなくアイボリーのような少し黄色みがかっていることからできた言葉です。
象牙質の黄色の強さには個人差があるため、象牙質の色が強い人や、象牙質を覆っているエナメル質が薄い人は比較的歯が黄色く見えます。
多くの人は年をとると、エナメル質がだんだんすり減って薄くなっていきます。
それに加えて、内側の象牙質は徐々に厚くなってしまうので、より象牙質の色が透けやすくなって濃く見えるようになり、黄ばんでいるように見えるのです。
抗生物質による黄ばみは、主に乳歯が抜けて永久歯に生え変わる子どものころに起こります。
細菌性の感染症にかかった時などに抗生剤を処方されることがありますが、その抗生剤の服用により、体内で生成されている段階で永久歯が黄色くなってしまうのです。
外的な要因による黄ばみや、加齢による黄ばみには見られない特徴として、黄ばみ方がバラバラではなく左右対称に変色してしまいます。
左右対称の黄ばみがみられる場合は、幼少期の抗生剤の服用が原因である可能性があります。
この場合、症状の程度や目的により対処法が異なるので、専門家の歯科医師に相談するのが良いでしょう。
歯石による歯の黄ばみ
もう一つ歯の黄ばみの大きな原因として、歯石によるものがあります。
歯石とは、歯磨きで落としきれなかった汚れ(歯垢)が蓄積して固まったものです。
歯石は歯の表面をくすませるため黄色く見えますが、それだけでなく、歯周病の原因にもなりうるので口臭の悪化や、歯の黒ずみにもつながってしまうのです。
一度黄ばんでしまった歯は再び白く戻すことはできる?
様々な原因により起きてしまう歯の黄ばみですが、一度黄ばんでしまった歯はまた白さを取り戻すことはできるのでしょうか。
抗生物質の作用による黄ばみは歯科医師の指示に従って治療する必要がありますが、他の要因に関しては、外的要因によるものも内的要因によるものも、きちんとケアすればきれいな白い歯を取り戻すことができます。
主な方法はホワイトニング剤を使うことですが、その主成分は過酸化水素(H2O2)や過酸化尿素(CN4N2OH2O2)で構成されています。
これらは、使用時に口内で酸素(O2)と水(H2O)に分解されます。
この時に発生する活性酸素(ROS)とフリーラジカル(遊離基)という物質が、歯に沈着した色素を分解し、脱色して無色にするという原理です。
他には、酸化チタンを含んだジェルを塗った上からLEDライトを照射することにより、光触媒の作用で汚れを落とすものや、歯の成分に吸着しながら汚れを浮かして取り除くもの、表面をきれいにコーティングすることで白さをキープするホワイトニング剤もあります。
黄ばんでしまった歯をホワイトニングする方法
具体的なケア方法についてですが、歯科クリニックや美容歯科でのホワイトニング治療と、自宅で行うホワイトニングの2つがあります。
クリニックでの治療は、漂白系のホワイトニング剤やLEDライト照射によるものがメインとなります。
自宅でのホワイトニングは、市販のホワイトニング剤によるケアや、コーヒーなどの飲料を飲んだり、タバコを吸ったりした後のこまめな歯磨きで行います。
また、最近では自宅でスマホやパソコンに接続して使えるLEDライト照射アイテムも販売されています。
自宅でのホワイトニングがおすすめ
クリニックでのホワイトニングは専門家と相談して、自分に最も適した方法で行うことができるので、サービスの満足度は高いと思います。
しかし、費用が安くはないので継続して治療するためにはかなりの金額がかかります。
また、治療が終了した後も、その白さをキープするために結局自宅でのケアが必須となります。
最近では自宅でできるホワイトニングアイテムが多く作られており、使いやすく安価なものもたくさんあります。
自宅で、一人で行える歯の黄ばみケアまとめ
自宅で一人でもできる歯の黄ばみケア方法
- 歯の黄ばみの原因となるステインを含んだ飲料や食べ物、タバコを吸った後など、こまめに口をすすぎ丁寧に歯を磨くなどの生活習慣で歯をケアする方法
- 市販のホワイトニング剤やLEDライト照射アイテムを使用する方法
これらは誰でも簡単ですぐにでもできる上、お金もあまりかからないので「クリニックでの治療は経済的に厳しい、通院する手間が面倒だ」という人には、まず試しにでもおすすめできるホワイトニング方法です。
歯の色をきれいにして第一印象を変えたい、また健康的な白い歯を取り戻したいという人は検討してみてください。